皇学館大学にて


12月8日(木)の宗教学概論bにてお話しをさせていただきました。多くのご意見・ご質問等ありがとうございました。

この中から幾つかお答えしたいと思います。

Q、仏画は経典に沿って描くものであると聞いたのですが、個人によって描かれた絵に大きな違いとかはないのですか?
A、大きく見れば、それぞれの国や地域によって違いが見られます。また、同じ画流の絵師同士でも、長く描いていると背景や色合いなどに違いが出てくることもあると思います。

Q、チベット仏教は、土着のボン教とチベット仏教が結びついてできたと聞きましたが、ブータンやその他のチベット仏教を信仰している地域同士で相違点はありますか?
A、宗教が、その土地の風土に影響を受けながら変化していく性質上、細かな相違点は多々あると思います。最も広がった宗派が違うとよく使う経典に違いが出たり、安置される仏様の組み合わせが違ったり、、

Q、六道輪廻図では、なぜ水に浮いている絵なのですか?陸地の上でもいいと思うのですが。
A、そうですね。陸地の上に浮いている図もありますのでどちらでもいいと思います。

Q、海外の食べ物や水は合わなかったりするのでしょうか?またその場合はどのように対応するのですか?
A、硬水はそのまま飲むとお腹を壊すと言われていますが、一応ネパールは軟水らしいので、沸騰させたものをそのまま飲んでいました(ミネラルウォーターも売っています)。食べ物は、外食があわなければキッチンのあるところを借りて自炊も出来ると思います。ネパールの野菜は日本と似たものも多くあるので、作ろうと思えば日本食も出来ると思います。

Q、なぜチベット仏画を描こうと思ったのですか?
A、最初は、簡単に描けそうだから一枚描いてみようかなと思って始めました。

Q、仏画師の需要はあるのですか?
A、チベット仏教文化圏において、チベット仏画は法要で使ったりお仏壇に飾ったりします。また、仏画の技術は寺院の外壁や内壁を描いたり、お供え物に装飾したり、仏像に色付けしたりするときにも必要となりますので需要はあると言えると思います。仕事内容もお給料の面でも、どちらかというと芸術家というよりは職人の仕事に近いと思います。

Q、なんでラサはかたくなに他所からの侵入を拒んだのか?
A、欧米の探検家たちがラサを目指した19世紀後半から20世紀初頭にかけて、チベットは鎖国政策をとっており、特に首都ラサは侵入者を厳しく取り締まっていました。しかしそれ以前からラサに入れた者が非常に少なかったのは、そもそも、チベットは世界で最も高い山脈に囲まれていて、地理的に外から侵入することが難しかったというのもあるかもしれません。ラサ周辺の山中には山賊がたくさんいて、彼等によって命を落とした者も多かったそうです。

Q、現在、ラサへ入ることはやはり厳しいでしょうか?
A、中国の青海省からラサまで鉄道が通ってからは行きやすくなったと聞いていましたが、最近また取り締まりが厳しくなったとも聞きました。実際に、最近行かれた方や今行かれている方に聞いてみると、一番正確な情報を得られるのではないでしょうか。

Q、タルチョの色は、天、風、火、水、地を黄、緑、赤、白、青で表しているA、ということですが、この色である理由はあるのですか?
A, 授業中はお答えできず失礼いたしました。青、白、赤、緑、黄の順で、天、風、火、水、地の意味を持ち、この世界を形作っている五大元素を表しているそうです。

Q、仏画の魅力は何ですか?
A、一体の仏様や一枚の仏画に物語があるところでしょうか。

Q、仏画以外の絵は描かないのですか?
A、最近は創作画にも挑戦しています。

Q、櫻井先生はどのような人ですか?
A、人当たりがよく穏やかで、人に対して非常に忍耐強いという印象を受けます。

Q、六道輪廻図の地獄の大魔王の頭の飾りなどの意味は?
A、頭や体に装飾を施すのはまださとりに至っていない菩薩で、如来や仏陀には基本的に飾りはつけません(※例外あり)。地獄の大魔王が菩薩だとすると何にあたるのかについては私もよく知りませんでしたが、地蔵菩薩だとする説もあるみたいですね。

Q、仏画ではオリジナリティがあまり求められていないのでしょうか?
A、どのような用途の仏画を描くかにもよると思います。鑑賞用でしたら多様なオリジナリティを発揮できるのではないでしょうか。
Q、仏画は油絵や水彩画と違って独特なタッチとなっているのはなぜでしょうか?
A、同じ仏画でも、描かれた場所や年代、また使用するキャンパス地や絵具の種類などによって見た目の雰囲気が違ってくると思います。チベット仏画は色合いが独特だとよく言われますが、チベットが非常に乾燥しているため空気が澄んでいて、また標高が高いこともあって様々な色が原色のようにはっきり見えることも影響しているかもしれません。

Q、仏画の学校に入って学び、過ごす間で日本の習慣と異なることはあったと思いますが、特に困ったことや日本に帰りたいと思ったことはありましたか?
A、冬は毎年、暖房器具もしくはお風呂を恋しく思いました。

Q、仏画学校に入るのにはどんな試験があったのか?
A、試験は特にありませんでした。チベット仏教の名前を持っているかどうか訊かれました。

Q、瞑想するときは正座するのですか?
A、瞑想するときも描くときも菩薩坐(あぐら)です。できる人は半跏趺坐、結跏趺坐をします。

Q、仏画を描くのは何のためなのか知りたい(布教のため?)。
A、布教、法要、修行、観賞など様々な目的があると思いますが、私が描き始めた理由は、人々がはっとするような美しい仏様を描いてみたいというものでした。

Q、中村さんはどうしてこの世界に入ろうと思ったのか。
A、一度長めに海外に住んでみたい、絵を描くのが好き、仏教にも少し興味があった、何か外国の言葉を話せるようになってみたい、友達が何人かできた、気候や食事であまり我慢する必要がない、物価が安いので長期滞在できそう、などなど、わりと自然な流れで入っていったように思います。